エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


そう話すと、瑠衣の瞳から不安の色が少しずつ消えていき、戸惑いと喜悦の色がないまぜに映っている。

「紛らわしい言い方をして悪かった。でも、もし俺のためを思うのなら、二度と自分を足枷だなんて思わないで。決して俺から離れようなんて考えないでくれ」

瑠衣の両肩に乗せた手が力み、小さく震える。大和は腹の底からの本心を唸るように絞り出した。

「俺はもう、瑠衣のいない人生なんて考えられない」

普通の恋人が辿る順序をすっ飛ばして結婚したのだから、ゆっくりと時間を掛けて好きになってもらう努力をするつもりだった。

気持ちを押し付けず、真綿で包むように大切にして、穏やかな家庭を築ければいいと思っていた。

身体を重ね、少しずつ心の距離も縮まり、夫婦として順調な滑り出しだったはずが、瑠衣の昔の恋人の出現で、大和本人すら知らなかった独占欲や嫉妬心を過剰に煽られた。

弁護士として常に冷静に物事に対処できると自負する大和が、感情をうまくコントロールできずに瑠衣を悩ませてしまっていたとは情けないことこの上ない。

「ここ最近いつもと様子が違って見えたのは、瑠衣が佐藤社長と親しそうに話していたのを見たからだ」
「あ、それ。どうして大和さんが孝弘を知ってるんですか? その、私との関係とか、やり直さないかって言われた話まで……」

気まずげに尋ねてくる瑠衣を見ると、燻っていた嫉妬の炎がチリっと爆ぜる音がする。