「瑠衣は先生から結婚の話を聞いた時、俺のことを好きでもなんでもなかったし、むしろ断ろうとしてただろ? そんな時に俺からずっと好きだったなんて言われても困るだろうと思って、先生に恩があるというのを口実にさせてもらった」
大和の説明に、瑠衣は涙が乾いた瞳をぱちくりと瞬かせる。
なにも言わずとも、わかりやすく『どういう意味?』と浮かぶ顔が可愛くて、口元が自然と緩んだ。
「如月家を理想だと言ったのは本当で、温かい家庭で育った瑠衣をいい子だなって思ってた。留学から帰ってきて久しぶりに会った時、俺を『おかえりなさい』って出迎えてくれたの、覚えてる?」
「お、覚えてます……。久しぶりに会ったのに大和さんが無言でじっと見てくるから、緊張して言葉が出てこなくて」
「あの時、俺は瑠衣を女性として好きになったと思う」
「えぇ?」
驚きに身体を跳ねさせた瑠衣は、のけぞるようにしてまじまじと大和を凝視する。
「制服姿の印象が強かった瑠衣が、久しぶりに会ったら大人の女性になってて凄く驚いた。それと同時に、話すと中身は変わってなくて安心もしたんだ。瑠衣の隣は居心地がよくて、誰にも譲りたくないって思った」
「は、初耳です」
「うん、初めて言った」
大和の告白に耳を赤くさせ、続きを促すように上目遣いで見上げてきた。
こうした可愛らしい仕草を見るたびに、加速度的に惹かれていく。それは不思議と心地よく、溺れていると気付いても引き返したくはなかった。



