エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


(妊娠したら事務所を継ぐしかなくなる? いったいそれのなにが問題なんだ?)

言葉の意図が掴めずぽかんと固まった大和だったが、すぐに正気を取り戻す。

「瑠衣、どういう意味だ? そもそも俺たちの結婚はその話から始まったんじゃなかったか?」

クライアントから意向を聞き出すのに長けているはずの弁護士が、自分の妻の発言の真意がわからず困惑する。

大和はここ最近感じていた気まずさや嫉妬などの感情をすべて横に置き、瑠衣の心の内側を理解しようと頭を切り替えた。

落ち着いて話をしようと瑠衣の肩を抱きながらソファに座り直し、顔を覗き込むようにして視線を合わせる。

「まず、これは瑠衣のものなんだよな?」

手に持った数字の振られたシートを見せると、瑠衣は小さく「はい」と頷いた。

「痛みが酷いとか生理不順とか、そういうものの改善じゃなく、避妊が目的で飲んでた?」

低用量ピルは九十九パーセントの確率で避妊ができる他に、不快症状であるPMSの改善にも用いられる薬だ。

以前痛みで辛そうにしていたのを見た記憶があったため念のため確認したが、この質問にも瑠衣は首を縦に振った。

頷いた拍子に、彼女の大きな瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちる。