エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


しかし、次の日以降も瑠衣の様子がいつもと違うことに焦りが募った。

居心地のよかった空間が消え、大和の好きな瑠衣の無垢な笑顔は、必死に作った偽物の微笑みに変わった。

視線も合わなくなり、今朝に至っては一緒にいるだけで泣き出しそうな顔をしていた瑠衣。

そこに『もしも結婚して一年経っても子供ができなかったら、事務所を継ぐという話は一旦保留にしませんか?』と言われ、さらに避妊薬まで出てきた日には、佐藤の発言が関係していると考えても不思議ではない。

実際、彼の名前を出し、復縁を迫られているのだろうと尋ねると、瑠衣は黒目がちな瞳を大きく見開いて驚いていた。

本当に瑠衣と佐藤は元恋人同士なのだと実感し、大和は胸にこびりついた嫉妬を持て余す。

卑怯な手段で手に入れた自覚があるからこそ、なによりも大切に、誠意を持って接してきたつもりだ。

最初は父親のために結婚を承諾した瑠衣も、うぬぼれでなければ少しずつ気持ちを向けてきていると感じていたというのに。

かつての恋人と再会し、復縁を迫られたことで、この結婚に迷いが生じたのだろうか。

自分の推測に苛立ち、前髪を掻き乱す。瑠衣から視線を逸しながら、『……迷っているのか?』と聞くのが精一杯だった。

すると、瑠衣は瞳を涙でいっぱいにしながら『迷うわけないじゃないですか!』と眉を顰め、『だって私が妊娠しちゃったら、大和さんは本当に如月法律事務所を継ぐしか道はなくなっちゃうんですよ?』と叫んだ。