エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


心のどこかに、妊娠してしまえば、なにがあっても瑠衣との繋がりは切れないだろうという黒い打算があったのは否定できない。

しかし、跡継ぎとは関係なく、彼女との子供なら欲しいと本気で感じた。

いつの日か、彼女との子供をこの腕に抱く日が来るのだろうか。

幸せな家庭というものに縁遠かった大和にとって、それは切なくなるほど待ち遠しく眩しい未来だ。

本来なら大和が瑠衣を存分に愛し、尽くして、幸せにしたいと願っているのに、彼女と結婚したことで、逆にたくさんの幸せを与えられている。

(瑠衣といるだけで、こんなにも満たされる。彼女にも同じように感じてもらいたい)

柔らかな頬にそっと触れた。

瑠衣の可愛い部分をいくつも言えると密かに自負する大和だが、マシュマロのようにふわふわの頬は、大きな黒い瞳と同じくらい彼女のチャームポイントだと思う。

自他共に認める童顔な可愛らしい瑠衣が、大和に抱かれている時に見せる艶めいた女の表情に、年甲斐もなく溺れてしまっている。

今もまた、その表情を引き出そうと首筋から鎖骨、胸元を唇で辿っていくと、甘い吐息を零しながら彼女が首を反らせた。

「あ、大和さ……」
「瑠衣。もっと俺を欲しがって」

結婚を決め、ふたりで時間を過ごすごとに、瑠衣も少しずつ大和に気持ちを寄せてくれている気がする。

先日は久保の軽口を気にして、職場の女性相手に小さなヤキモチを焼く素振りを見せた。