エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


自分が事務所を継げない代わりに、優秀な弁護士と結婚して後継者を身籠る。

それだけ聞くと時代錯誤な話だが、大和には英利の考えていることが理解できたし、瑠衣を愛し、幸せにしてやれる自信と覚悟があった。

(卑怯な手段だったと自覚はある。これからしっかり愛情を示して、彼女に振り向いてもらいたい)

女性から多くの好意を寄せられる大和は秋波に敏感な方だが、出会った当初から結婚を申し入れた時まで、瑠衣から恋情を向けられていると感じたことはない。

悩みながらも結婚を承諾してくれたのは、父親と事務所の為だと理解している。

そんな彼女に『ずっと君が好きだった』などと言っても、戸惑わせるか、あるいは不審がられてしまうかもしれない。

だからこそ、大和は一方的に気持ちを押し付けることはせず、結婚前に互いを知れるようデートを重ね、入籍までは努めて紳士的に振る舞った。

初夜で身体を重ねて以来、箍が外れたように夜毎求めているが、瑠衣は拒むことなく受け入れてくれる。

跡継ぎを望まれた結婚ではあったが、英利も急かすわけではないと言っていたし、大和もしばらくは瑠衣とふたりきりの新婚生活を楽しみたいと考えていた。

それに、父や祖父のような弁護士になる以上に心惹かれたホテルマンという仕事を楽しんでいる瑠衣がすぐに妊娠しては困るだろうと、結婚当初は避妊をしていたが、現在はしていない。