エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


瑠衣が高校受験に合格した時には、らしくなく悩みに悩んでプレゼントを買いに行ったものだ。

(あのパスケースをまだ使ってくれていただなんて。この子はどこまで俺を惚れさせれば気が済むんだ)

それを知ったのは入籍前のデート中だったが、すぐにでもどこかに連れ込んで、どろどろに蕩けるくらい可愛がって抱き潰したい衝動を我慢した自分を褒めてやりたいくらいだ。

組み敷いた大和の下で、真っ赤に熟れて食べられるのを待ちわびている瑠衣の唇を貪るように味わうと、彼女が「くぅん」と子犬のような鳴き声を漏らす。

「可愛い」

昔の瑠衣に対する感情は、例えるなら妹に対する気持ちに近かったのかもしれない。大和が理想と感じる仲のいい家庭で育った、可愛くて守ってやりたい年下の女の子。

尊敬する恩師である英利のもとで弁護士として働きだすと、忙しさからしばらく会えずにいた。

転機となったのは、留学先のカリフォルニアから帰国した直後に如月家で再会した時。

玄関で出迎えてくれた瑠衣は、大和の記憶の中の彼女を凌駕するほど大人の女性になっていた。

中学や高校の制服姿の印象が強い彼女の、長い髪を高い位置でひとつに纏めたエプロン姿を見た瞬間、驚きとともに強烈に女性として意識した。

久しぶりにふたりで話してみるとやはり居心地がよく、大和を見るやいなや色目を使ってくる女性たちとは違うと感じる。