「紺くん。今、人に買ってもらう主義って言いましたよね」

「あー、言ったねー」

「ならなんであのキーホルダー、買ってくれようとしたんですか?」

そう聞いた途端、紺くんが歩いていた足をピタリと止めた。

「紺くん……?」

紺くんの顔を覗き込んで名前を呼ぶと、やっと動いた。

「あ、ああ。だから、言ったじゃん。ああいうのは男が買うんだって」

「あ、そういえばそうでしたね。変なこと聞いてすみませんでした」