海岸で1時間くらい騒いだ後、今日宿泊するホテルの前に移動した。

海からは歩いて5分くらいのところに、ホテルはあった。

海沿いを歩くのは気持ちが良かった。

ホテルの前に設置されているベンチの周辺に全員が集まってから、サクヤさんは話を始めた。

『おし。んじゃ、今からチェックインする。部屋は2つ取ってあって、男女でそれぞれの部屋な。』

『分かりました!部長!今日はありがとうございます!』

『オッケー。あたしからも、ありがとね。』

『あんがと。』

みんなそれぞれ返事をして、ついでにお礼も言った。

『…んなことは全然。んで、今が14時くらいだろ?夕食はホテル内レストランを予約してますよと。その時間が18時半だから、それまでは自由行動な!以上、よろしくぅ!』

『えっ、自由行動なんですか?みんなでどこかに行ったりするんじゃ…?』

私が尋ねると、サクヤさんから悲しい答えが返って来た。

『ヤヨイちゃんはあれかわいい!とか言って、すぐにどっか行くだろ?んで、シュンくんはだりぃとか言って、急に動かなくなるだろ?』

『そんなことないですよ!人のこと、犬みたいに言って!ひどいです!あ、シュンはあってます。シュンのだりぃ…は、1万回くらい聞いてますから。』

『あー、めっちゃ分かる。分かるわ。ヤヨイちゃんもシュンくんもそんな感じだわ。さすが部長。よく見てんね。』

『…んなことねぇよ。』

私とシュンはすぐに否定した。

いや、シュンが否定するのはおかしいんだけどね。

納得と共感が止まらないノゾミ先輩が、何度も頷いている。

そういえば、友達からヤヨイちゃんはすぐ迷子になるよねって、時々文句を言われる。

私としては、迷子のつもりなんか無い。

『んで、ノゾミちゃんは自分が行きたいトコ以外は行きたくないタイプだろ?この辺りは観光地だから、色々と調べてるだろーし。』

『あはは!めっちゃ分かります!基本的にノゾミ先輩はずっと頑固ですよね!フランスパンくらい頭が硬いんですよ!』

『確かに行きたい所は目星つけてるけど…。とりあえず、ヤヨイちゃんはあとでゲンコツするわ。』

『…。(…分かるな。)』

『このメンバーで団体行動は無理だ!そうなると、自由行動以外はありえねぇよなってことで。夕食の時間になったら、ロビーに集合!』

『分かりました!』

『オッケー。』

『あぁ。』

私達は、ホテルのフロントに向かって歩き出した。