ローガンがゆっくりと振り返る。その顔は青白く、体は痩せ、出会った時よりもローガンが弱っているのが嫌でもわかる。もう残された時間は短いのだ。

「僕は明日死ぬかもしれない。もしも明日死んだら、描きかけの絵を残すことになる。そんなの嫌なんだ。……僕は、絵を描くことしか知らない。他の子みたいに遊んだり、走り回ることができない。そんな僕にとって絵を描くっていうのはね、人生そのものなんだ。だからこれだけは中途半端にやめられない」

「はいはい。……それで寿命が縮んだらとか考えないのか?」

ラーグリマの言葉に「絶対ない」と息を吐き、ローガンはすぐに答える。

「仮に絵を描くたびに寿命が縮んだとしても、僕は絶対に絵を描くのをやめないよ。絵を描くのが楽しいから。僕の人生だから。……僕は、何もない長い人生よりも、短くても喜びや幸せがある人生がいいんだ」

「本当に人間は馬鹿だな。俺には理解できない」

苦しそうに再び咳き込むローガンに、ラーグリマは冷たく言い、彼から顔を逸らす。だが、いつだって言葉と心の声が一致しているとは限らない。