やっぱり、男の子なんだな。

 明希の顔はわりと中性的だけど、身体はこんなにも違う。靴だって大きくて重たそうで、中で小動物が暮らせそう。

「小春ちゃんはポップコーンはしょっぱい派? 甘い派?」

「ハーフアンドハーフ派」

「欲張りだなあ」

 へらへら笑う明希の横顔をよく見ると、耳が赤かった。
 気のせいかな、と考えていると、今度は大きな手のひらが汗ばみはじめたことに気づいた。

 困った。こっちまでつられて汗ばんでしまう。

「なんかさ、最近すごく暗くなるよね。星がきれいに見えるからいいんだけどさっ」

 つい、早口に告げてしまった。
 緊張がありありと表に出てしまう自分は、確かに明希の言うとおり予行練習が必要かもしれない。

「今日も帰り、送ってくから。小春ちゃんちまで」

「いいよ。そういう意味で言ったんじゃないよ」

「この時期って酔っ払いも多いじゃん。だからさ」

 そんくらい、させてよ。
 
 陽気なクリスマスソングが流れるなか、かさついた声でちいさく呟いた明希の耳は、やっぱり赤かった。