しかし、頭では判っている。

失恋の痛手を、新しい恋で癒そうとしているだけだと。

前に大和にも伝えたが、もし、今度誰かと相思相愛になれたとしたら、もう二度と別れたくない。

つまり、お互いにそれほどの覚悟を持った恋をするしかないのだ。

かなり慎重に…悪く言えば、臆病になっている。

それに、いくら大和が優しくても、それはあくまで優しさだ。

たった一人の大切な存在への愛情と、優しさとは違う。

大和の優しさに甘えて、嘆くだけ嘆いて、あっさりと、今度はあなたを好きになってしまいました…なんて軽薄なこと、いくら何でも出来るはずがない。

なので、恋心を匂わせるような言動は慎まなければ。

それでも…手紙には書かなかったものの、今すぐにでも逢いたいという気持ちに嘘はないのも事実。