『いつもと違う格好で相手をドキドキさせよう!!』
 バーン! と後ろに効果音がつきそうなほど勢いよく宣言されたそれは、頭が混乱するのに十分なものでした。
 今日は特別課題だそうです。朝、登校したらグラウンドにそれはもうびっくりするほど大きなバスが停められていて、それはもうびっくりして……。バスの座席は自由だったのでお隣に紺くん、前には羽生ちゃんと石清水くん、後ろには星出さんと虹叶くん、で座りました。何故か目的地に着いてから男女別に分けられて集まっているのですが、なんと今回は普通科も参加可能とのことで、羽生ちゃんも一緒なので安心です! ……いや、今はその話をしている場合ではなく……。
 「と! いうことで! このショッピングモールを借り切ってコーディネートのちデートをしてもらうわ!!」
 「……こ、こーでぃねーと」
 「……初ちゃん?」
 「ど、」
 「ど?」
 「どうしましょう!? 私オシャレは今まであまりしたことがなくて……っ!」
 「今回はボーナスステージ! 普通科のカップルの参加も認めるし特に早い者順でポイントがつかないからゆっくり選んでね! セブンオーシャンのアカウントであげた写真と各々で更新した投稿でいいねの数を稼いでちょうだい! トップ3にはそれぞれいいねを加算します!」
 私の耳を、高らかな学園長の声が通り過ぎて行きました……。何も……何も頭に入ってこない……。
 「初ちゃん! こういうときは3人よれば文殊の知恵って言うし、何人かでやろう?」
 呆然としつつも羽生ちゃんに手を引かれながら着いていきます。羽生ちゃん、なんだか確実にどんどん強くなっています……メンタルが。