終業後、亜香里と廊下を歩いていると、向かいから佐伯くんが歩いて来たことに気が付いた。
「あっ!、佐伯くん」
声をかけると視線が合い、ハッとして目を逸らして通り過ぎた佐伯くんに驚いて足が止まる。
そのまま振り返れずに固まる私の名を呼ぶ亜香里の声が聞こえた。
「莉緒....」
それに応えるように亜香里に振り返りたいのにそれもできない。
「やっぱり嫌われたかな.....」
呟いて、ため息が出る。
そうだよね....『迷惑です』って言っていたもの。
好きという気持ちを知ってから、あまりに短い時間で失恋を知り、無視される。
自分の気持ちが処理できないまま、モヤモヤとくすぶっていた。
あぁ......また涙が出そうになる。
それを何とか堪えて亜香里に慰められるべくやけ酒をくらいに居酒屋へと向かった。
その後も何度も社内で佐伯くんに遭遇しては、会話なく去られてしまっていた。
それでも挨拶だけは交わしてくれる。
「おはよう、佐伯くん」
「...おはようございます」
「お疲れ様、今帰り?」
「お疲れ様でした」
決して会話にはなってない。
でも無視されるよりいいかな....。
社内で会えた時はすごく嬉しい。
挨拶だけでも。
嫌がられないように、大きな声を出さないように。
挨拶を返してくれた佐伯くんを、振り返って見つめ続けないように。
自然に...自然に...注意を払って。
そんな日々が続いた。
本当は挨拶して、少しでいいから会話をしたい。
佐伯くんの笑顔が見たい。
あの綺麗な瞳を見つめたい。
でもこれ以上嫌われないように、さりげなく挨拶だけしてすぐその場を去るよう心掛けた。
「あっ!、佐伯くん」
声をかけると視線が合い、ハッとして目を逸らして通り過ぎた佐伯くんに驚いて足が止まる。
そのまま振り返れずに固まる私の名を呼ぶ亜香里の声が聞こえた。
「莉緒....」
それに応えるように亜香里に振り返りたいのにそれもできない。
「やっぱり嫌われたかな.....」
呟いて、ため息が出る。
そうだよね....『迷惑です』って言っていたもの。
好きという気持ちを知ってから、あまりに短い時間で失恋を知り、無視される。
自分の気持ちが処理できないまま、モヤモヤとくすぶっていた。
あぁ......また涙が出そうになる。
それを何とか堪えて亜香里に慰められるべくやけ酒をくらいに居酒屋へと向かった。
その後も何度も社内で佐伯くんに遭遇しては、会話なく去られてしまっていた。
それでも挨拶だけは交わしてくれる。
「おはよう、佐伯くん」
「...おはようございます」
「お疲れ様、今帰り?」
「お疲れ様でした」
決して会話にはなってない。
でも無視されるよりいいかな....。
社内で会えた時はすごく嬉しい。
挨拶だけでも。
嫌がられないように、大きな声を出さないように。
挨拶を返してくれた佐伯くんを、振り返って見つめ続けないように。
自然に...自然に...注意を払って。
そんな日々が続いた。
本当は挨拶して、少しでいいから会話をしたい。
佐伯くんの笑顔が見たい。
あの綺麗な瞳を見つめたい。
でもこれ以上嫌われないように、さりげなく挨拶だけしてすぐその場を去るよう心掛けた。



