「え、週末飲み会なの?」

「うん、何か予定あった?」

「あ、いや、別に」

紗世の家は二駅先のため、ちょくちょく家に遊びにくる。
今日は水曜日。
ちょっとだけ顔が見たいと言われて、家に来てもらった。
週末は一緒に居たいなと誘う前に、飲み会だと申告されたのだ。

「どこで飲むの?」

「会社の近くの居酒屋。んーとなんだっけな?ちょっとお洒落なとこ」

「ふーん、女子会?」

「ううん、仲のいい営業部の人達も何人かいるけど…何もないから大丈夫だよ?」

「え、営業って…」

「心配ならお名前伝えとく?吉野さんと片桐くんと、駒野さん。うちの課の杉崎さんと夏川さんと、枝野くん。総務の会田さんと北山さん」

「合コン並…」

「男性陣ほとんど既婚者だし、お子さんもいるから早めにお開きになるから大丈夫!」


笑顔で念を押す紗世は今日も可愛いが
正直気が気でない。


しかも営業の片桐って確か…

「片桐くんとは何もないよ?」


紗世の同期の片桐は、去年紗世に告白してきた油断ならない奴だ。


「ちゃ、ちゃんとまっすぐ家に帰るんだぞ?
なんなら迎えに行くから電話して」