あの時、なんとか言いくるめて二人で水族館に行ったんだよな。
なかなか苦い思い出。

どうだろう、幼なじみじゃなく、
恋人への一歩としての初デート。

「よし、水族館にするか」

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「わ、みてみて初人、クラゲ綺麗!」
「ほんとだ、でも紗世、はしゃぐなよ」
「いいじゃん、綺麗なんだから」

あの日は日曜日で、なかなか混雑してた
「うわっ」
「あ、紗世っ」
「ごめん、ありがと」
「…はぐれると悪いから、手繋ぐか」
「いいの?」
「当たり前だろ」
「ふふ、幼なじみだもんね!」

と、屈託のない笑顔で手を握ってきて
嬉しいのに悔しかったんだよな…

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