「ま、長かったなここまで。お前がヘタレなせいで」
「は?」
「裏で手を回すクセに肝心な本人には何も言えないんだもんな」
「言えなかったんじゃなくて、言っても本気にされなかっただけだ」
「その方が悲しいけどな…笑」
「お前にはわかんねえよ、幼なじみの苦労なんて」
「そうだな、なんせ俺はその幼なじみちゃんの"初恋の人"ですから」
「なっ…」

そう、悠真は親友でもあるが、憎いことに紗世の初恋の相手である。

「『紗世は俺の初恋なんだ、泣かせないように断れ』だっけ?」
「う、うるせーな、なんで覚えてんだよ」
「忘れたくても忘れられないね」

小学生の頃の話だ、まったく。

「ま、そんなヘタレな親友の門出に手を貸してやる俺は優しいんだから感謝しろよ」
「…サンキュ、悠真」