震える手でボタンを押すと、すぐに『はい、管理室です。どうされましたか?』と応答がありました。

「あのっ、エレベーターが途中で止まってしまったのですが……」

『先ほど近くで落雷があったようなので、その影響で電気系統に異常が起こっているのかもしれませんね。メンテナンス会社に連絡を取りますので、そのまま少々お待ちください』

「少々って……あの、どのくらいかかりますか?」

『そうですね、早くて20分……』

「20分も!? もう少し早くおねがいできませんか?」

『そう言われましても……』

「じゃあ、わたしになにかできることはありませんか? 1分でも早くここから出たいんです」

『危険ですので、そこでおとなしく待っていてください。下手になにかして、万が一エレベーターが落下でもしたら一大事ですので』

 落下……!?

 さーっと血の気が引いていきます。