「え……紺くん、大丈夫ですか?」

「……実は俺、閉所恐怖症なんだよね」

「へいしょ……?」

「狭いとこがダメなの。マズったな……。すぐ降りられるなら大丈夫だと思ってたんだけど。まさか閉じ込められるなんて思わなかったから油断した」

「えぇっ、大変です! は、早く出していただかないと。どどどどうしましょう」

 わたしが一人でおたおたしていたら、紺くんが、すっと操作盤の方を指さしました。

「多分、外に通じる非常呼び出しボタンがあると思うんだけど」

「そうですね! 探してみます」

 えーっと……。

「あっ、ありました!」

「それで助け呼んでみて」

「わかりました! でもあの……これ非常時以外押さないようにって書いてあるんですけど、押しても大丈夫でしょうか?」

 不安げにわたしが紺くんの方を振り向くと、紺くんに、はぁ~と大きなため息をつかれてしまいました。

「あのさあ、逆に聞くけど、これ以上の非常時っていつ?」

「そ、そうですよね! わかりました。がんばりますっ」