「へぇ~。こっからさっそく分かれるわけね」

 封筒をもてあそびながら紺が言う。

「はぁ~、なんだか緊張してきちゃいました。こんなところでお食事をするなんて、はじめてです」

 初が、胸に手を当ててやや緊張気味に言う。

「でも、はじめてが紺くんと一緒でよかったです。楽しみですね」

 初がふわっと笑って見せると、紺はふいっと顔をそらし、「……だな」と一言短く答えた。

「おなかすいた。早く行くぞ、伸太郎」

「待ってよ、めーちゃん!」

 すたすたとエレベーターへと歩き出す牛若を、七海が慌てて追いかける。

「じゃあ、俺たちも行くか」

 そんな二組をしばらくの間黙ってじっと見つめていた宇貝が、星出の方を振り返る。

「うん」

 そんな宇貝に笑顔を返すと、星出は宇貝のとなりに並び、二人はゆっくりとエレベーター乗り場へと歩を進めた。