「虹叶のおかげで、怖いのどっか行っちゃったみたい。助かったよ。ありがと」

 必死に平静を装ってお礼を言うと、

「そうか。ならよかった」

 虹叶がホッとしたような表情を浮かべた。

 ひょっとしてだけど……ずっと、あたしの気を紛らわせようとしてくれてたの?

 そんな虹叶に、なぜかキュンとするあたしの胸。

 落ち着け。こんなやつに乱されるな、あたし。

 胸のあたりをぎゅっと握りしめてすーはーすーはーと深呼吸をしていると、突然エレベーターが再び上昇をはじめた。

「クリア……できたの?」

「クリア?」

 あたしのつぶやきに、虹叶が即座に反応する。

 しまった……。

「ごめん、虹叶。……これ」

 あたしは、さっき引いた封筒からカードを取り出して虹叶に見せた。