「そうだ。最近、もう一匹飼いはじめたらしい。俺はまだ直接会ったことはないけど。桃次郎だ」

 しばらくスマホを操作したあと、虹叶がもう一度あたしの方に画面を向ける。

 今度はマルチーズに桃次郎!

 宇貝家の名づけセンス、おもしろすぎだから!

「へ、へぇ~、この子もかわいいね」

「ああ。星出も、犬は好きか?」

「うん、嫌いじゃないよ。でも、どちらかというと、犬よりネコ派かなぁ」

「そうか。まあ、犬とネコ、両方飼ってる家も普通にあるしな」

 虹叶がひとりでうんうんとうなずいている。

 ……それはどういう意味……?

 あーもう深く考えるな。

 頭がおかしくなりそう。

「星出、大丈夫そうでよかった」

「へ!? あ、そういえば……」

 しまった。

 虹叶のせいで、怖がってる設定、すっかり忘れちゃってたじゃない。

 あたしとしたことがぁ!