「そうだ。星出も見にくるか? うちの犬」

「は? い、行くわけないでしょ」

 ちょっと。なに言ってるのかわかってる?

 あたしたち、これでも一応結婚を目指してる仲なわけでしょ?

 それでご両親にあいさつって……いや、絶対こいつそこまで考えてないわ。

 やっぱ虹叶って天然?

 こわっ、天然こわっ。

「……そうか」

 虹叶の声が、ものすごく残念そうなんですけど。

 ああ、もうっ。なにがしたいわけ?

 まさかだけど……わたしと離れるのがさびし……いやいや、さすがにあり得ないってば。

「そ、そうだ。名前、なんていうの?」

 こういうときは、さっさと話題を変えるに限るわ。

「エリザベス。俺がつけた」

「そ、そうなんだ。ステキな名前だね~」

 うわっ、メス犬だった。さっき虹叶ソックリとか言っちゃったんだけど。

 しかも、柴犬にエリザベスってつける虹叶のセンス、謎すぎだから。