「とりあえず助けは呼んだから。……星出、大丈夫か?」

 非常呼び出しボタンを押して管理室とのやり取りを終えた虹叶が、あたしの方を振り向く。

「ごめんね……ちょっと、今回はダメかも」

 両腕で自分自身を抱きかかえるようにすると、弱々しい声で怖がるあたし――を必死に演じる。

 え、ほんとムリなんだけど。

 こんなかわいい女の子みたいなの、あたしには全然似合わないんだから。

 こんなの、絶対バレるって!

 ちらっと虹叶の様子をうかがうと、心配そうな表情を浮かべてあたしのことを見ていた。

 ……ウソ。バレてない? マジで??

 あたしが怖がってるって信じてるの?

「大丈夫だ。なにかあったら、俺が必ず星出を守るから」

 虹叶の唐突な言葉に、思わず目を見開いてしまい、慌てて虹叶に背を向ける。

 ドキドキドキドキ……。

 ちょっと。今日の虹叶、どうしちゃったの?

 こんなの、心臓持たないんですけど!