「バカ伸太郎」

 ぽそっとめーちゃんがつぶやく。

 だけど、さっきよりもなんだかやさしい声に聞こえた。

「そうだ。だったら、明日一日僕に付き合ってくれる? 今度は僕の食べたいものを食べに行こう。それなら平等。でしょ?」

「どさくさに紛れてデートに誘おうとするな。なんでお前なんかに付き合わなくちゃいけないんだ…………あぁっ、もう。わかったよ。だったら今日は10倍辛いヤツだからな」

 めーちゃんが、少しふてくされたように言う。

「うん。めーちゃんが好きなものは、僕も大好きだから大丈夫」

「ムリすんな。バカ伸太郎」

 めーちゃんの声が、ちょっとだけ笑っているように聞こえた。