管理室とのやりとりを一通り終えると、二人でうしろの壁にもたれて座った。

 ぐぅ~。

 大きなお腹の音が、エレベーター内に響く。

「ご、ごめん。僕の腹の虫がうるさくして。……それにしてもおなかすいたね。早く復旧するといいんだけど」

「バカ。こんなときまであたしをかばう必要がどこにある」

 めーちゃんが、頬を少しだけ赤く染めている。

「ははっ、たしかにそうだね」

「……おなかすいた。エビチリも麻婆豆腐も、10倍辛いヤツが食べたい」

 膝の上で組んだ腕に顔をうずめて、めーちゃんがつぶやいた。

「OK、レストランに着いたら頼んでみようね」

「バカ伸太郎。お前、辛いものダメだろ」

「だって、めーちゃんが食べたいものを食べて笑ってくれたら、それが一番うれしいからさ」

 遠慮なんかしなくていいのに。

 僕は、となりに座るめーちゃんに笑顔を向けた。