わたしがぷくぅっと頬を膨らますと――。

「ふわぁっ」

 突然エレベーターが動き出し、バランスを崩したわたしを、紺くんが間一髪抱きとめてくれました。

「あ、ありがとうございます、紺くん」

「……課題クリアってことか」

「へ?」

 紺くんのつぶやきに小首をかしげると、さっきの封筒の中から紺くんがカードを取り出して見せてくれました。

「えぇ~~!?」

「初なら知ってると思ったんだけどな。俺が閉所恐怖症じゃないってことくらい」

「そう……でしたっけ?」

 わたしがもう一度小首をかしげて考えているうちに、最上階の52階にエレベーターが到着して、扉がゆっくりと開きました。