でも、わたしは紺くんのとなりにいると、ちょっとだけ怖いのが大丈夫になった気がしますよ?

 だから、紺くんもそうだったらいいのにな、なんて思ってしまいます。

 あ、そうだ! わたしには、気を紛らわすためのとっておきの秘策があるんでした。

「紺くん、こんなときはしりとりです。しりとりをしましょう」

「え、なんで?」

 紺くん、とてもイヤそうな顔をしています。でも……。

「昔、お父さんたちと車で遠くにお出かけして、渋滞につかまったときはいつも三人でしりとりをして遊んでいたんです。そうすると、ただ待っているだけの時間も、とっても楽しく過ごせるんですよ」

 わたしは、紺くんににこっと笑って見せました。

 きっと怖くなくなります。大丈夫ですよっていう気持ちを込めて。

「……じゃあやる。初から言って」

「はいっ。えっと、では最初は『フランス』です。紺くん、『す』ですよ」

「『(すみ)』」