「桐野くん…どうして…」
さっきまで涙が出ていたのにびっくりしすぎて止まっちゃった。
それにしてもどうして桐野くんがここに?
「……運瑠のことが心配で。運瑠がいなくなったら俺は一人になる。俺はもう運瑠がいない人生は考えられない。だから行かないで、運瑠」
私のことが心配?
桐野くんも…一人は嫌なの?
「でも…私は桐野くんにつり合わないよ」
私は桐野くんみたいに完璧にはなれない。
私はいつまで経っても弱いまま。
それに比べて桐野くんは…勉強も運動もお友達もたくさんいて強くて…。
「俺が運瑠につり合ってないんだよ」
「そんなこと…ない……っ」
「なあ、運瑠」
「…?」
桐野くんはどこか懐かしむような瞳で私を見つめる。
「天国の父さんや母さんが見たらきっと悲しむよ。だから、笑おう!ね!」
「っ!!」
その言葉は……!
『どうして泣いてるの?』
『お母さんとお父さんがいなくなったの。私…これからどうしたらいいのかな』