「いいよ、彩綾。もう、充分だわ。」


麗華が怒る彩綾をなだめて、百合香を見る。


「いいよ、百合香ちゃん!気にしないで!」

「あ……うん…ごめんなさい……」



苦しい、痛いよ…助けて………。

あたしはわずかなのぞみを託してクラスメイトを見る。


でも……
クラスメイトは、死んだ魚のような目をして、あたしを冷たく見下ろしていた。


助けて…!
辛いよ!
苦しいよ…!

あたしの視線は、伏見くんを捉える。


伏見くん…助けて…!


力を振り絞って伏見くんに手を伸ばす。

伏見くんがこちらに手を伸ばし、歩いてこようとする。

あたしは、別の意味で涙が溢れそうになる。

やっぱり、あたしの味方はいるんだ…!!


「ふ……し…」


でも。





あたしの言葉はそれ以上続かなかった。

あたしの方に来ようとした伏見くんを、誰かが止める。


「え…?」


八神夜風だった。

静かな顔で伏見くんの腕を掴んでいる。

しかし、その掴む強さが尋常でないことは、伏見くんの顔が語っていた。




八神………

恩を仇で返すの?

あたしがこんなことされているお陰で、あんたはイジメから解放されているじゃない…!


あたしは、無性に八神さんに腹が立っていた。


その瞬間、