「あはは!楽しかったねぇ!彩綾ちゃん。」

「うんっ!!」



通学路。

あたしたちは笑いながら歩いた。

麗華ちゃんがあたしを見る。




「ねえ、彩綾。」





うふふ…、麗華ちゃんがあたしのこと、呼び捨てで呼んでくれた。

思わず頬が緩む。




「あたし、自分を偽るのやめる。彩綾ちゃんの言う通りだよ。あたしは、人の上に立つべき人だもんね!」




麗華ちゃんがはしゃいで言った。




「もちろんだよ!麗華ちゃんは……ううん、麗華姫は、あたしのお姫様だもん!!」


「あはは!麗華姫っていいね!!」




それから、あたしはずーっと彼女に、麗華姫に付き従った。

麗華姫が右を向けと言ったら右を向く。

靴を舐めろと言ったら靴を舐める。

麗華姫が望むような、忠実な配下になった。




麗華姫があたしをいじめても、なんとも思わない。




逆に、嬉しかった。


麗華姫に気に入られるように、いじめられている時は、いじめられっ子みたいに泣き叫んだ。



麗華姫がこれで楽しんでくれていると思うと、嬉しかった。









……あたしたちは恋人どうし。









それは、秘密のお付き合い。

誰にも言っていない。

もちろん、柑奈にも、聖理奈にも、ななみんにも、ぶーちゃんにも、八神にも、裕二たちにも。



秘密の恋人……。