「あはは!面白いね、みんな。」
麗華姫が近づいてくる。
自然とみんなぶーちゃんのそばから退く。
「ぶーちゃん、あたしも、ぶーちゃんを楽しませてあげる!」
そう言って麗華姫はバット——おそらく体育館倉庫の中にあったと思われる野球のバット——を振り上げる。
「ひっ…!やめっ…。」
——ガンッ!!!
麗華姫がぶーちゃんの脚にバットを振り下ろす。
「あああああああ…ああ!!!」
今までとは比べ物にならないくらい悲痛な声でぶーちゃんが叫ぶ。
いつも、いつもそうだ。
麗華姫は容赦という言葉を知らない。
イジメだろうがなんだろうが、麗華姫は容赦しない。
人が死のうが、きっと顔色ひとつ変えない。
それが——麗華姫だ。
「まだまだよ〜。」
——ガン!ガンッ!!
「いやぁぁぁぁ!!!」
泣き叫ぶぶーちゃん。
滑稽だ。
あたしは忘れずにスマホを取り出してぶーちゃんにかざす。
「あたし」は、こんなことで動じるような人じゃない。
「あたし」…はね。