「だからね!あたしは、麗華姫の恋も応援しているよ!」

「……へぇ、そうなんだ……ってはぁぁぁぁあ!?」


一瞬納得しそうになって慌てて聞き返す。


「白神さんの恋ぃ!?初耳だよ!?」


百合香も必死でガクガクと首を縦に振る。



「え?知らないの?麗華姫が亜希くんを好きなのは有名だよ?」


奈々美がこてんと首を傾げる。

は…?

今なんて…?

亜希くん…?

伏見くんのことでしょ…?

麗華姫が伏見くんのことを好き…?




なぜか、チクリと胸が痛む。





「そうなんだね…詳しいね…」


頬が引き攣るのを隠して、笑う。


「奈々美はさぁ、なんで麗華たちと仲良くなったの…?全然接点がなかったでしょ…?
奈々美は全然1軍ってタイプじゃ無くて…
奈々美は…」



—————バン!

「あたしは!奈々美じゃない!ななみんだ!!!奈々美って呼ばないで!あたしはななみんなの!ななみん!!もう、これ以上聞かないで!」




「な…なみ…?」




奈々美が壁を叩いて叫んでいた。

はっとした顔をして、奈々美が手をだらりと垂らす。


「ごめん…あたし…あたし…取り乱して…?」


それだけ言うと、奈々美は踵を返し、昇降口に走っていった。