後ろに回した手で、傘を掴む。

新しく買った重い傘。



死ね、死ねっ…!



あたしは、何も考えられなくなった頭で、ただ一言を繰り返す。



死ね。



傘を振り下ろす。






ガンッ!!!







「お母さんっ!?」





聖香の悲鳴が響く。

あたしの手に嫌な感触が伝わる。



「っ…う!」



お母さんの頭から…血?


ハッとした。

嘘っ!?

あたしがやっちゃったの!?


サーっと頭が冷めていく。


お母さんは倒れ込んだまま血を流し続ける。



「救急車!!」



聖香がスマホを操作する。

お父さんが白いタオルを持ってくる。



「あ…あ…」



手が震えた。

あたし…あたし…

あたしは震える脚を動かして、外に走り出た。



「待ちなさい、聖理奈!」



お父さんが呼ぶけど、振り返らない。

今更冷静になった。



「ああ…もうっ!」



あたしは、学校の方面へ、ふらふらと戻ってきてしまった。

どうしよう…どうしよう…


あたしの運命は、SNSの二つのアカウントに荒らされて、狂ってしまった。

暗転してしまった。


なんでなの……?