「宮部さん、他に何かわからないところある?」
「んー……、これってどうしてこの日本語訳になるの?」
「それは付加疑問文が最後についてるからそうなるんじゃないかな」
「あ、ほんとだ。ありがとう!」

また三好くんに助けてもらってしまった。わたしが自習室で勉強をしていたら、三好くんも部屋に入ってきて勉強をし始め、しばらくするとなぜかわたしの方に来てくれて、人に教えるのは自分の勉強にもなるから、といってわたしに勉強を教えてくれたのだ。


 高校二年生になって初めて隣の席になった三好くんは、成績優秀でスポーツもでき、かっこよくて優しい、友達もたくさんいる、すごい男の子だ。去年まではそんな三好くんを遠くから見ていて、素敵な人だななんてぼんやり思っていただけなのだけれど、今年に入ってから隣の席になってしまったことで、わたしは彼に恋をしてしまった。関われば関わるほど、彼の優しさとかかっこよさがわかってしまい、どんどん好きになってしまった。あーあ、とわたしは思う。三好くんはわたしみたいな、平凡で地味で、勉強もできないしかわいくもない、本当になんの取り柄もない女の子が好きになっていいような相手じゃないのだ。三好くんのことが好きな女の子の話はたくさん耳にするし、その女の子たちはみんなきらきらしていてかわいい。たくさんのかわいい女の子に思いを寄せられている三好くんがわたしに振り向いてくれるなんてありえないし、そもそもわたしなんかが好きになってしまったら失礼なくらい彼は素敵な人なのだ。