「じゃあ、昔よく親と練習したやつなら」

昔授業でも習った"少年時代"

深く息を吸い込みゆっくり吐く。前奏を弾き歌い始める。
歌い始めると不思議と昔の思い出と共に体から音が溢れ出て来る。

小学生の夏休みに完奏してみようと母さんと練習した曲。
母さんが歌い私が弾く。私が歌い母さんが弾く。
最後は私が歌い私が弾いた。

あの時のよく注意された所や指使い、感情表現を思い出しながら最後まて弾き終わらせた。

パチパチパチパチッ

先生が拍手をしてくれた。

久々に一人で人に聴かせる演奏をしたので恥ずかしかった。体全体が熱っている。

立って一礼して一条の方を見ると見開いた大きな目が私と合い慌てて拍手してくれた。

「こういう時何だっけ、ブラボー!だっけ?」
と茶化しながらも何度も拍手してくれた。

「今度俺たちのライブ来てくれないかな?俺たちの音楽聴いて、もし、もしいいと思ったら、一緒に歌いたい」

誘われてしまった・・・

「そうだ、先生も来てよ!先生と一緒になら怖くないでしょ?ライブハウス」

えー⁈先生と一緒にAquaで一条のライブを観るの?瑠璃の格好で?・・・ゾッとした。

結局紗良と来ればいいと言われ、考えておくと伝えた。どうしたもんか・・・

「僕も実はほんとは見てみたいんだよね。ライブとやらを」

先生はニコッと笑いながら準備室へ戻って行った。