次の日、休み時間の教室移動で廊下を歩いていると中庭に白河先生がいた。
花壇の花に水をあげている。確か園芸委員会にも所属していたような。
なんか似合っているのが可笑しかった。

しばらく先生を見ていると前からの視線を感じた。
ふとその方を見ると一条がこっちを見ていた。

先生を見ているのを見られた?

慌てて階段を降りた。逃げるような態度の方が怪しいよなと後悔した。
きっと変に思われただろう。

そんな心配も他所に、部活終わりに一条に言われた。

「一度コーラスじゃない歌を聴かせて欲しいんだけど。前に放課後ここで歌ってたようなやつ」

恥ずかしいから断るがしつこくお願いされる。

もし歌って、もし一条が気に入って、もし一条のバンドに誘われたりしたら・・
きっと面倒なことになる。気に入られないように歌うのは流石に嫌だ。

「僕も一度聴いてみたいな」

隣の準備室で片付けをしていた白河先生だった。

「え、先生も?」

どうしよう。先生に言われたら・・・でも何歌う?Splashの歌は流石に歌えない。

どうしようか考えていると窓の外、初夏の夕焼けが目に入る。