放課後の音楽室でピアノを弾いてるといきなり入って来て

”もう一度聴きたいんだけど”

と言い放った一条響。

その後Aquaに来て次のSplashのライブはいつかとウィルの私に聞く。
あとで紗良に聞いてわかったが音楽の授業も同じクラスらしい。

今日も音楽の授業がある。しばらく合唱の練習が続く。
よく耳をすますと一条の声が聴こえてきた。

今まで気づかなかった。あのライブの時に聴いた声だ。
少し高音でハスキーなミックスボイス。
なのに遠くに通る声。昔からこの手の声が私は好きだった。

声が聴こえてくる方を振り返ると目が合ってしまった。慌てて前を向く。

授業が終わってから白河先生に呼ばれる。

「宇井さん、コーラス部の夏の合唱コンクール予選、ピアノ担当でいいの?歌の方がいい?」
「どちらでも。ただ、音楽科の子の方がピアノ上手じゃないですか?私でいいんでしょうか?」

「副顧問の木津先生とも話し合ってね、あと、音楽科の先生とも。その結果、やっぱり君になったんだよ。音楽科の先生も君がなぜ普通科なのか嘆いていたよ。だから、どっちでもいいはダメだよ。ちゃんと考えて自分の希望を出しなさい」