文化祭当日の朝、ツナギのまま登校する。

「おう、マキヤオートのにいちゃん!」
振り返ると竜だった。

「おう、竜か」
「今日一日それなのか?」
「おう、明日もな」
「コスプレ、では、ないな」
「他なかったし」

「竜のとこは?」
「定番お化け屋敷」
「化けるの?」
「おう、ゾンビ」
「マジか?見に行くわ」

教室へ行くとそれぞれのハンコを渡される。

「ツナギ、他に被ってるやついないだろ?」
智香に聞く。

「さすがにいないわね。・・・響、よかったら休憩の時一緒に回らない?」
「んー、俺今日一日忙しいかも、また見かけたら声かけてくれ」

コーラス部も見るし、他の音楽科のやつらのも見てみたかった。竜とキキのとこも行きたいし、あ、紗良のたこ焼き食いてーな。宇井も紗良のとこは行くだろう。

考えながら歩いてると宇井のクラスの前だった。

「ひびき」

小さな声がどこからかする。

廊下の曲がり角で宇井が俺を呼んでいた。

「何してんの?」
「ちょっとお願いが」
「どした?」
「あの1番上の写真引きちぎってほしいの」

宇井が指さしたのは宇井のクラスの”コスプレ写真館”で廊下側に飾ってあるディスプレイ用写真の1枚だった。