合宿から数日、バイト以外は家に篭り練習と曲のアレンジばかりしていた。

文化祭も参加するとなるとやることは増えるが宇井に比べたら少ない方だ。

すると宇井からメッセージが来ていた。話があるから会えるかと。

"わかった。今日Aquaに行く"

Aquaに行くのも久しぶりだな。早くライブしたいなあ。

行くといつものように紗良がいた。

「お前はいつもいるな。パン屋のバイトはどうした?」
「何よー、そんなこと言うならお土産あげないからね」
「スマトラ島だっけ?」
「シチリア島!」

そう言ってイヤーカフみたいなのをもらった。

「ありがとう」
「ウィルから聞いた?白河彼女事件」
「なんだそれ」
「聞いてないのか・・」
「何だよ教えろよ!」

先週ちょうど俺らの合宿所に来た日の出来事だった。

なんだよそれ・・・

宇井がグラスを持ってきてくれた。

「忙しいか?」
「今日はそうでもない」
「あれからみんな必死に練習してるよ」
「うん、私も家でやってる」

「・・紗良から聞いた。白河の彼女のこと。大丈夫か?」
「うん、もう大丈夫」

心なしか痩せたようにも見える。

「ちゃんと寝て食ってるか?」