土曜日。ウィルのライブを見に来た。正確に言うとSplashのライブだ。
ウィルはキーボード担当なのだが、彼女の歌っているような弾き方が気になっていた。

またいつもの格好で長い髪を揺らしながら楽しそうに弾いている。
ボーカルの様子を見ながら彼に合わせて弾く。
演奏年数が長いのかボーカルにピッタリ寄り添っていて息が合っていた。

何曲目かで少し引っかかった感じがしたが気のせいか?
そして一瞬目が合ったような気がした。

そのあとの演奏は前ほど楽しそうではなかった。


残りのバンドの演奏を聴いたあと帰ろうとした時、誰かがバイクに乗ろうとしていた。

ウィルだった。

メットをかぶろうとしたがやめて一服し始めた。

この見た目でバイクまで乗るのかよ。小型だがアメリカンでシブいバイクだった。

いつの間にか近づいていた。


「何?」


仕事終わりの一服を邪魔されたからか彼女の言葉から怒りが感じられた。

今日の演奏の感想を言ってみた。

怒られた。

確かにそうだ。まだ2回しか聴いていないのに批評をするなんて馬鹿の極みだと猛省した。