そんな私の言葉も聞かず他のメンバーに説明している。

「いいじゃん瑠璃!一曲やってみなよ。新たな世界がパーっと開けるかもしれないよ」

紗良が軽く言う。

響が演奏できる曲のリストを見せてきた。

鍵盤はともかく歌もでしょ?できるかな?

リストを見ると懐かしい曲名も並んでいた。昔友達と流行り曲を弾きあって遊んでいた。お互い弾いて歌ってたの思い出す。

「これならいけるかも」

昔流行ったJポップだった。家ではあまりこの手の音楽を聞かなかった。たぶん親が興味なかったのだろう。でも学校で流行っていたのでよく歌っていた。

しばらく各々練習し合わせてみる。

「いいか?宇井」
頷く。

久々に聴く響の声。やっぱり好きだなこの声。

これに私の声は合うのだろうか?Bメロに入り私も歌い始める。

何だろ?合ってるのかな?自分ではわからないけど心地いい。歌える。

こんな歌い方したことなかったけど、声が伸びる。

響の声もどんどん広がっていく。

そこからは夢中で弾き夢中で歌った。