「紺くん!このお弁当ものすごく美味しいです!」
新幹線に乗って駅弁を食べている今日は、新婚旅行当日だ。
「こっちのも美味いよ。1口食べる?」
「え、え、いいんですか!?」
「ほら、あーん」
……え?
無意識にやっていた行動に驚いてしまう。
あーんなんて、課題かなにかでやれって言われない限り自分からやることなんてないはずなのに。
自分で自分の行動に驚いているのに、俺からのあーんを受け取った初は口をもぐもぐさせながら窓の外を見つめている。
小さい声で、紺くんがあーんしてくれるなんて……って呟いているのが聞こえる。
そんなこんなで駅弁を食べ終わって、各々の時間を過ごしていた頃、車内アナウンスがもうすぐ目的地に着くことを教えてくれた。
俺の肩で寝ている初を起こすと、ふにゃっとした笑顔を俺に向けてくる。
「おはよぉございます……」
可愛いは大前提。
控えめに言って天使だわ。
右手には2人分の荷物が詰まった1つのキャリーバッグを持って、左手は初と恋人繋ぎをする。
駅を降りると、賑やかな構内。
そこから電車とバスで移動して、いかにも和という街並みに辿り着いた。
何度も地図を見て確認した道を歩いて、今日泊まる旅館へ荷物を預けたらあとは楽しむのみ。
「紺くん!着物着ましょ!着物!」
「そうだね。予約したから、まずそこ行こっか」
繋いだ手はそのままに、レンタル呉服店へと足を進める。
着いてそうそう、初の目はキラキラと輝いていて、どれにしようかなと店の奥へと進んでいく。
「紺くんこれどうでしょう」
「いいじゃん」
「こっちはどうですか?」
「可愛い」
「これはどうですか?」
「似合ってる」
こんなやり取りを何回も繰り返すと、決まらないと悶えだした。
「どれも似合うもんなー。俺のから決める?」
その間に今まで見てきた中から一番似合ってたやつを決めようかな。
そう思って移動しようとしたとき、初が閃いたように言った。
「じゃあ、私が紺くんの選ぶので紺くんが私のやつ選んでください」
そう言われて渋々離した手をすり抜けた初はスキップするように男性用の置き場へと向かって行った。
女性用の所に残された俺だけで決めるのか?
決めれるか?どれも似合うであろう初に着せるものを、この何十枚もある中から選べるのだろうか。
一つ一つ見ていくも、どれも似合う。
その中でも、一番似合いそうな柄を見つけた。
赤紫に白い大きめの線が入って、梅が描かれているもの。
色白の初によく似合いそうだ。
「紺くん、決まりましたか?」
「うん。初は?」
「決まりました!」
お互いに選んだ着物を着て、外に出る。
冬ということもあって寒いけど、来た時のように繋がれた手は温かい。
「初、似合うね」
「紺くんもです。かっこいいです」
初が選んだのは、青みの強い紺色の、無地のものだ。
「ありがとう。初も可愛い」
着物を着て、神社を巡ったり和のスイーツを食べたり。
楽しい時間はあっという間だった。
夕方に着物を返すと、あとは宿に戻るだけ。
「すごく楽しかったですね」
「うん。また来よう」
次来た時はどこへ行こうかと計画を立てながら旅館に戻る。
沢山歩いたから、とゆっくり温泉に浸かったあと、部屋で夜ご飯を食べる。
「んー!美味しいですね!」
幸せそうな顔。でも俺のお嫁さんなのにまだ敬語が取れていないことにふと気付いた。
今までこれに慣れすぎていて、今の今まで気づかなかった。
「……初?」
「なんですか?」
「そろそろさ、敬語なくていいんじゃない?」
本当は、紺くんじゃなくて紺って呼んで欲しいっていうのも、言ってしまおうか。この際。
「……そう、だね。癖になってて忘れてました!あっ」
「少しずつでいいからさ、ね?俺の前だけでもいいから」
「うん。じゃあ紺くんには敬語使わない!」
"くん''かぁ……。
「ま、これから慣れていくんだし、それはそのとき言えばいっか」
「え、何の話?教えてくだっ……教えて!」
それに今しか聞けないんなら、もう少し紺くん呼びでもいいかな。
「ほら、味噌汁冷めるよ」
「あー、話しそらした」
このなんでもない時間が幸せだ。
一緒にご飯を食べて、くだらない話をして、同じ家で寝る。
夜も更け、疲れが出たのか可愛い寝顔を俺に向けながら眠る初にキスを落として、俺もゆっくり目を閉じた。
新幹線に乗って駅弁を食べている今日は、新婚旅行当日だ。
「こっちのも美味いよ。1口食べる?」
「え、え、いいんですか!?」
「ほら、あーん」
……え?
無意識にやっていた行動に驚いてしまう。
あーんなんて、課題かなにかでやれって言われない限り自分からやることなんてないはずなのに。
自分で自分の行動に驚いているのに、俺からのあーんを受け取った初は口をもぐもぐさせながら窓の外を見つめている。
小さい声で、紺くんがあーんしてくれるなんて……って呟いているのが聞こえる。
そんなこんなで駅弁を食べ終わって、各々の時間を過ごしていた頃、車内アナウンスがもうすぐ目的地に着くことを教えてくれた。
俺の肩で寝ている初を起こすと、ふにゃっとした笑顔を俺に向けてくる。
「おはよぉございます……」
可愛いは大前提。
控えめに言って天使だわ。
右手には2人分の荷物が詰まった1つのキャリーバッグを持って、左手は初と恋人繋ぎをする。
駅を降りると、賑やかな構内。
そこから電車とバスで移動して、いかにも和という街並みに辿り着いた。
何度も地図を見て確認した道を歩いて、今日泊まる旅館へ荷物を預けたらあとは楽しむのみ。
「紺くん!着物着ましょ!着物!」
「そうだね。予約したから、まずそこ行こっか」
繋いだ手はそのままに、レンタル呉服店へと足を進める。
着いてそうそう、初の目はキラキラと輝いていて、どれにしようかなと店の奥へと進んでいく。
「紺くんこれどうでしょう」
「いいじゃん」
「こっちはどうですか?」
「可愛い」
「これはどうですか?」
「似合ってる」
こんなやり取りを何回も繰り返すと、決まらないと悶えだした。
「どれも似合うもんなー。俺のから決める?」
その間に今まで見てきた中から一番似合ってたやつを決めようかな。
そう思って移動しようとしたとき、初が閃いたように言った。
「じゃあ、私が紺くんの選ぶので紺くんが私のやつ選んでください」
そう言われて渋々離した手をすり抜けた初はスキップするように男性用の置き場へと向かって行った。
女性用の所に残された俺だけで決めるのか?
決めれるか?どれも似合うであろう初に着せるものを、この何十枚もある中から選べるのだろうか。
一つ一つ見ていくも、どれも似合う。
その中でも、一番似合いそうな柄を見つけた。
赤紫に白い大きめの線が入って、梅が描かれているもの。
色白の初によく似合いそうだ。
「紺くん、決まりましたか?」
「うん。初は?」
「決まりました!」
お互いに選んだ着物を着て、外に出る。
冬ということもあって寒いけど、来た時のように繋がれた手は温かい。
「初、似合うね」
「紺くんもです。かっこいいです」
初が選んだのは、青みの強い紺色の、無地のものだ。
「ありがとう。初も可愛い」
着物を着て、神社を巡ったり和のスイーツを食べたり。
楽しい時間はあっという間だった。
夕方に着物を返すと、あとは宿に戻るだけ。
「すごく楽しかったですね」
「うん。また来よう」
次来た時はどこへ行こうかと計画を立てながら旅館に戻る。
沢山歩いたから、とゆっくり温泉に浸かったあと、部屋で夜ご飯を食べる。
「んー!美味しいですね!」
幸せそうな顔。でも俺のお嫁さんなのにまだ敬語が取れていないことにふと気付いた。
今までこれに慣れすぎていて、今の今まで気づかなかった。
「……初?」
「なんですか?」
「そろそろさ、敬語なくていいんじゃない?」
本当は、紺くんじゃなくて紺って呼んで欲しいっていうのも、言ってしまおうか。この際。
「……そう、だね。癖になってて忘れてました!あっ」
「少しずつでいいからさ、ね?俺の前だけでもいいから」
「うん。じゃあ紺くんには敬語使わない!」
"くん''かぁ……。
「ま、これから慣れていくんだし、それはそのとき言えばいっか」
「え、何の話?教えてくだっ……教えて!」
それに今しか聞けないんなら、もう少し紺くん呼びでもいいかな。
「ほら、味噌汁冷めるよ」
「あー、話しそらした」
このなんでもない時間が幸せだ。
一緒にご飯を食べて、くだらない話をして、同じ家で寝る。
夜も更け、疲れが出たのか可愛い寝顔を俺に向けながら眠る初にキスを落として、俺もゆっくり目を閉じた。



