そして、その日の予定は私のせいでかなり迷惑をかけたのだろう。
私の両親が、見合い相手の両親や相手の男性に謝罪をしたと後から聞いて、考えてみなくても それは当然に予想できる事で、大人としてどーなのかと。

今までだって両親が持って来た「見合い話」には、相手がどーだろうと、ちゃんと「参加」だけはして来た。


その日から数週間の後、お父ちゃんが私にポツリと想いをこぼした。

「春子、、この間の相手そやけど(だけど)も、あれわて()の昔からの友人の息子でな、ぶっちゃけた話(本当のところ)、東京の有名な国立大学の医学部を卒業してホンマ(本当)は就職も決まっとった(決まってた)らしいんだって。なんや(何か)その息子にあったらしくて、そやさかい(だから)帰省してからは笑いもしないんやて。元気な春子が嫁に来てくれたらええなって(いいなって)なんぎや(こまるわ)。」

「お父ちゃん・・・」

「あははッ・・・写真を見せた時は、食いついたって思ったのに、お前がそないなにかなんったとは(そんなに嫌だったとは)ホンマ、あかんわ。わて()ボチボチ(まあまあ)しんどいねん(疲れたよ)

「・・・・」

「そやかて、医者やろう(だろう)が、友人の息子やろう(だろう)が、お前を病気まがいの男に
嫁がせようとしたわてはあこぎな(悪い)もんや。かんにんえ(ごめんね)。お前にいちゃもん(文句)言われても仕方ない。あははッ・・」

お父ちゃんは そう言って笑い飛ばした。


気になったのは そんな事を聞いたから?
どうしてもあの相手に逢って、何だか謝りたくなった。

病気だと知っていたから、ドタキャンしたわけじゃない。
最初、写真を見てとっても素敵な男性だなって思ったんだから。なのに、私の考えだとか、そんな事は関係のないところで準備がドンドン進んでしまい、ちょっとだけ反抗したかった?あッ・・そうそう、それッ!
それに、あの相手に逢って、もっと気になったらどうしたら良いのか?わからないもの。