『キス』


「でね、勇さん(ウチの人)、お父さんね、それから変なのよ。その日を境に私に急に馴れ馴れしくなって、でね、まぁなるようになったって感じかしら?」

「何があったんでしょうか?」

「サァ? 私の魅力に気づいたのかしら?」
「そのカフェで何か言われてお返事をしたんですよね?」
「そうねぇ、、」
「それで、それを境に仲良くなった?」
「うん、確かに。あのね、、その後にキスして」
お義母さまは、そう言ったら真っ赤になって照れてるのだから、とっても可愛い。

「お義母さま、私が思うんですけど、、まさかそこでプロポーズされたんじゃないですか?」
「えっ、、まさか。私、勇さん(ウチの人)にプロポーズされてないもの。なんだか、成り行きで結婚したようなものだし」
「そうなんですか?」
「ええ、結婚してください的なプロポーズはないのよ」
「、、じゃあ、どんな?」

私がそう聞くと、お義母さまは何かを思い出す様に上を向いた。そして
「よく思い出しても、、わからないけど、自分の女性関係は気にならないのか?的な事聞いてきて、はい、って答えたら良かったって! ね?意味わかんないでしょ?」
そんな風にお義母さまはニコニコしながら、お義父さまとの馴れ初めを話してくれた。

お義母さまの話を聞きながら、ここで、この家でお二人のロマンスが
始まったのかと思うと、ずっとここに住んでいる事が羨ましくて。
この家で お二人の愛は育まれ、そしてその愛の証である私の愛する夫
が誕生したのだと、とてもあたたかい気持ちになった。