部活を終えた男子バレー部が体育館からぞろぞろと出てくる。

私はその中で一番背が高くて目立っている男の元に行き声をかける。



「お疲れ」

「おう。お疲れ!
何だ? 俺を待ってたのか?」

「そう。音俣(ねまた)を待ってた」



音俣は同じ1年A組のクラスメイト。



「お礼が言いたくて。
私をマネージャーに推薦してくれてありがとう」



先月から今日まで骨折した方の代理として女子バレー部のマネージャーをしていたのだが、私をマネージャーとして推したのが音俣らしいのだ。



「秘密だって言ったのに……兄貴の奴……」



本人は隠したかったみたいだけど。



「音俣のおかげで私、バレーが好きになれた」