「結ちゃんおめでとう」
「ママ、ありがとう。頑張るね」
私、結は今日から高校生。友達作りに彼氏作り、勉強も部活も頑張るぞー!と一人意気込んでいた。
「ゆーい!行くよー!」
玄関から誰かの声がして見に行ってみると、幼なじみの舞が立っていた。
「舞おはよ!ちょっと待って、前髪だけ直させて!」
そう言って私はバタバタと洗面所に走って前髪にアイロンをした。
幼なじみの舞とも高校が一緒。家も近くて、私はかなり楽しみにしていた。
「もう、結っていつも準備遅いよね」
ちょっと怒ってる舞にお詫びのチョコレートを渡して、家を出た。
学校に着き、玄関に行くとクラス分けされた紙が貼ってあった。2人でお互いの名前をみつけ、同じクラスなのを知ってすごく喜んだ。
「クラス一緒とか奇跡じゃない?」
「それな!運命すぎ!」
ワイワイはしゃぎながら教室に向かった。怖そうな人はいなくて、みんなどこの中学出身かとか聞いてガヤガヤしていた。
「え、結?」
突然後ろから話しかけられ、驚いて振り向くと翔が立っていた。
翔とは中2の時付き合って別れた、塾で出会った別の中学の人。まさか同じ高校だったなんて…
「誰?友達?」
隣にいた舞が翔のことを見て聞いてきた。
「翔だよ」
舞には翔の話をしていたから名前を聞いて察したのか軽く会釈して席に行った。
「翔も山川高校に入ったんだね」
「家から近いからな」
「そ、そっか、近いのか」
気まずくて翔の顔が見れなかった。
翔と別れた理由は翔が浮気したと私が勘違いしたせいだった。
幼なじみの女の子と歩いてるのを見て、私が勘違いして翔を怒鳴ったのだ。
それから誤解は解けたもののなんとなく気まずくなってそのタイミングで私が塾を変えたのもあり、そのまま別れてしまった。
「結は2組だったん?」
「うん、翔は?」
「俺3組だった、いつでも遊びに来いよ、さっきの友達も連れて。」
「わ、わかった!あ、もうそろそろチャイム鳴るね。それじゃ」