「いお〜おはよう」


「あ、咲おはよう」


成瀬咲。

小学生の時から友達で、しゅう君のことも、よく相談に乗ってもらっていた。

だから、別れたって言った時は、少し落ち込んでいた。

でも、咲も分かってくれた。


「入試どうだった?」


「…出来たかな」


「そっか〜受かるといいね」


「うん…」


絶対にあの高校に合格したい。

そう思い始めたのは、
先生と出会ってからだった。


「いお、もしかして好きな人でもできた?」


「え!?ど、どうして?」


「いや、なんとなく」


「い、いないよ〜」


私は、この時まだ先生に対して、どんな感情を抱いているのか、分かっていなかった。


だから、言いたい。


言ってしまいたい。



この感情は一体、何なのか。

でも、いくら咲でも、これだけは言えない。



「本当に?

まあ、相談あるならいつでも乗るからさ」


「うん、ありがとう…。


…あ、あのさ!…放課後…話せる?」


「うん、じゃあまた後でね」



別に、先生の事を言うわけじゃない。



私はただ、人を好きになるって、どんな事なのか知りたいと思ったから。



そんなことを聞いて、どうしたいとかでもなくて、




…ただ気になっただけから。