「三浦、七瀬どこ行ったかわかる?」
「…分かりませんけど、
さっき、3人組の先輩と出て行きましたよ?」
「!?」
「え!柴咲先生!?」
…遅かった。
俺は、いおに守るって言ったのに。
昨日は、体育館で泣いていた。
でも、この時間帯は閉まっている。
朝、人がいなくて、誰にも見えない場所。
体育館の裏にある部室しか思いつかなかった。
どこの部室も閉まっていたけど、
ひとつだけ少し開いていた。
「!?…柴咲先生?」
「七瀬!…大丈夫か?」
勢いよくドアを開け、
一人の生徒が俺の名前を口にしたが、
無視して、いおのところまで駆け寄った。
いおは、床に横たわった状態で、
腹部を押さえていた。
「…先生?」
「ごめん、遅くなった」
いおをこんな目に遭わした3人の顔だけ覚えて、すぐに、いおを抱えて保健室に向かった。
その後、校長室に行き、全て話した。
3人の生徒は、停学になり、
深く反省しているそうだ。
あいつらがどんなに反省してようが、
俺は許す気なんて一切なかった。
でも、いおは、
きっと謝られたら許してしまうかもしれない。
いつも、自分後回しで、
人のことを優先してしまうくらい、
優しい人だから。
俺は、そんないおのことが
……生徒として好きだった。