そういえば恋愛成就はどうしたのだろう。ここに来ているということはいまだ告白できずにうだうだしているのだろうか、もったいない。
その他の話題を振ってこないというのも意味がわからないし、でも、こちらが踏み込んでいくのも躊躇われる。
お喋りのためだけにやってくる理由を探してしまうのだから、やはり友だちではないかもしれない。友だちなら最もよくある昼休みの過ごし方だ。
「ノーコメントで」
しかし昨日の今日なので、私はお茶を濁すことにした。こういうバランス感覚には自信があるのだ。そして彼にも彼特有の器用な距離の測り方がある。
「友だちになりたいし、春ちゃんって呼びたい。だめ?」
羽地くんは妙にまっすぐで積極的なところがあるから、この調子で意中の相手に向かっていけばきっとうまくいくと思う。
もし万が一、羽地くんの顔が好みじゃないという珍しい子が相手だったとしても、この人懐っこさに落ちない子はそうそういないだろうから。
まあ、我が校きっての王子様が自分から好きになる子って想像もつかないけど。



